御器谷法律事務所

サービス残業

1. サービス残業とは、
 一般的には、労働者が残業として時間外労働をして所定の時間外割増賃金を請求できるにも拘らずこれを請求しないこと、ないしは会社側がこのような時間外割増賃金を支払わないこと、を言います。
 従来より会社によっては時間外労働を自己申告とし一定の制限を設けたり、一定の役職以上の者を管理職として残業代の支払をないものとし、あるいは年俸制を採用すると残業代は一切支払わない等の取扱いもなされているとの指摘も一部にはありましたが、これらが労働基準法上の問題を生じうるのではないかと考えられます。

2. コンプライアンス上の問題
 労働基準法は、所定の労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えた時間外労働については次の例外の場合を除き、2割5分以上5割以下の割増賃金を支払うことを原則としています。
(1) 事業場外労働のみなし労働時間制−労働基準法38条の2
(2) 専門業務型裁量労働制−労働基準法38条の3
(3) 企画業務型裁量労働制−労働基準法38条の4
(4) 管理監督者等−労働基準法41条

3. 実例
(1) 大手消費者金融業 労基法違反で家宅捜索(内部告発)→ 35億円支払
「支店長」を管理監督者として取扱−係争中
(2) Bカメラ 労基法違反で東京地検へ書類送検(労組の内部告発)
「主任」を管理監督者として残業代支払われず
−but、実体なし
(3) Sサービス 未払い残業代 54億円(過労自殺者の遺族が告発)
(4) K電力 サービス残業代 23億円
(5) T電力 サービス残業代 69億円
(6) Oガス サービス残業代 18億円
(7) M銀行 サービス残業代 20〜30億円

4. 管理職と残業手当
 時間外割増賃金支払の原則の例外として労働基準法は管理監督者を挙げています。この「管理監督者」とは、その職務や勤務態様の実態により、労務管理につき経営者と一体的な立場にある者であり、単にその呼称等により決すべきものではありません。
 実際、レストランの店長や銀行の支店長代理、課長や主任であっても、その労働の実態から「管理監督者」とは認められなかった例もあります。

5. 年俸制と残業手当
 近時企業において年俸制を採用するところが多くなってきましたが、年俸制の場合には残業手当を支払わなくていいのか等の問題が生じています。
 この点について裁判例(大阪地方裁判所平成14年5月17日判決)は、次のように判示しています。
「年俸制を採用することによって、直ちに時間外割増賃金等を当然支払わなくともよいということにはならないし、そもそも使用者と労働者の間に、基本給に時間外割増賃金等を含むとの合意があり、使用者が本来の基本給部分と時間外割増賃金等とを特に区別することなくこれらを一体として支払っていても、労働基準法37条の趣旨は、割増賃金の支払を確実に使用者に支払わせることによって超過労働を制限することにあるから、基本給に含まれる割増賃金部分が結果において法定の額を下回らない場合においては、これを同法に違反するとまでいうことはできないが、割増賃金部分が法定の額を下回っているか否かが具体的に後から計算によって確認できないような方法による賃金の支払方法は、同法同条に違反するものとして、無効と解するのが相当である。
 そうすると、上記認定事実によれば、被告における賃金の定め方からは、時間外割増賃金分を本来の基本給部分と区別して確定することはできず、そもそもどの程度が時間外割増賃金部分や諸手当部分であり、どの部分が基本給部分であるのか明確に定まってはいないから、被告におけるこのような賃金の定め方は、労働基準法37条1項に反するものとして、無効となるといわざるを得ない。
 したがって、被告は、原告に対し、時間外労働時間及び休日労働時間に応じて、時間外割増賃金等を支払う義務がある。」


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