御器谷法律事務所

粉飾決算

1. 粉飾決算とは、
 典型的には、会社の経営状況が赤字や債務超過等悪化しているにも拘らず、売上げを水増ししたり、経費を圧縮したり等して不正な経理操作を行って黒字決算にすること等を言います。
 粉飾決算をして銀行から不正に融資を受けたり、本来できない利益配当や役員への賞与の支給を行えば会社の財産の減少をもたらし、債権者へも影響します。さらに上場会社にあっては、投資家への偽りの開示となり証券市場での投資家を裏切ることもあります。このように粉飾決算は様々の弊害をもたらし会社経営者としては決して行ってはならないことです。時として役員から「会社の信用を維持するためやむをえず行った」等の弁解を聞くことがありますが、コンプライアンスの見地からは全く許されない言い訳にすぎません。
 これに対して、逆粉飾決算とは、実際は黒字決算にも拘らず、赤字決算とするような場合であり、この場合には脱税が問題となることがあります。
 粉飾決算の際の取締役の責任を刑事責任と民事責任に分けて説明します。

2. 刑事責任

(1) 会社財産を危うくする罪、違法配当罪
粉飾決算を行って本来はすることができない違法配当(「タコ配当」とも言われます)を行った場合には、「会社財産を危うくする罪」ないし「違法配当罪」(会社法§963)として、これを行った取締役は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」となります。
(2) 特別背任罪
取締役が粉飾決算により自己又は第三者の利益を図りその任務に違背して会社に損害を与えたときは特別背任罪(会社法§960)として「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」となります。
(3) 金融商品取引法違反
上場企業の取締役が有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載をして提出したときは、「有価証券報告書虚偽記載罪」(金融商品取引法§197)として「10年以下の懲役・1000万円以下の罰金」となります。
(4) 銀行に対する詐欺罪
銀行からの融資を受ける際、粉飾決算した決算書を提出すると、その融資の金額や粉飾の度合や経緯等によっては銀行から詐欺罪として刑事告訴されることがあります。

3. 民事責任
(1) 違法配当額の賠償−会社法§462
取締役が粉飾決算により違法に利益配当を行ったときは、取締役は連帯してこの違法に配当した利益を会社に賠償すべきことになります。
(2) 第三者にも責任−会社法§429
取締役が粉飾決算により計算書類等の重要事項に虚偽の記載をし、そのために第三者に損害を生じたときは、取締役はこの第三者に対して連帯してその損害を賠償すべき責任を負うことがあります。
(3) 金融商品取引法§24の4-§22
上場会社の取締役が有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載等をし、これを知らないで有価証券を取得した者にこれにより損害を生じたときは、この損害を賠償すべき責任を生じます。
(4) 銀行や債権者からの損害賠償請求
粉飾決算を行っていた会社が倒産し債権の回収が困難となったときは、銀行や債権者が取締役等に対して損害賠償請求をすることがあります。

4. K社のケース(平成17年)
元社長、元副社長、元財務経理担当常務を逮捕
〈有価証券報告書虚偽記載罪により〉
−連結ベースの粉飾決算として初のケース−
手口−取引先に子会社の株を買い取らせて、赤字子会社を意図的に連結決算から外す(連結外し)
「会社の経営破綻を避けるため」との言い訳は通用しなかった

5. 経理担当者の責任
 粉飾決算に会社の経理担当者が関与していた場合、その粉飾の額や規模、経緯やその関与の態様や度合等によって、上記刑事責任や民事責任を負担すべき場合が絶無とは言い切れないでしょう。

 この粉飾決算につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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