御器谷法律事務所

企業と法律 「執行役員」

1.
執行役員とは、
 会社の特定の事業部門の業務執行を行う役員であり、従来の取締役と部長との中間的立場でその権限と責任に基づき業務執行を担当する幹部社員、という位の意味合いが一般的にはあります。
(1) 現在、執行役員制度については会社法、その他の法律に規定がなく、その内容は会社により異なることがあります。
(2) そもそも、執行役員という制度が作られた背景には、取締役の人数が増えすぎてしまい、取締役会では、経営に関する実質的な議論が出来にくくなったということがあります。
執行役員制度を取り入れることにより、意思決定や監督機能は取締役会に、業務執行は執行役員にという役割分担が可能となり、少人数となった取締役会で迅速な意思決定をすることが可能となりました。また、執行役員による機動的な業務執行も期待され、コーポレートガバナンスのあり方への変更を促す面も指摘されています。
現在の会社法は、会社内の機関設計について最低限のルールだけを定め、多くをそれぞれの会社の自由に任せています。各会社がそれぞれに最も適した形態を探す中で、執行役員の制度を設けて、収益性や競争力の向上を求めることも1つの手段であると考えられます。
(3) 執行役員は、名前が似ていることから、委員会設置会社における「執行役」(会社法第402条1項)と混同されることが多いですが、両者は別のものです。「執行役」は、取締役会決議によって委任された事項に関して、業務の意思決定ないし執行を行うことができ、れっきとした会社法上の機関です。それに対し、「執行役員」は、広範な業務執行の裁量権が与えられているとはいえ、会社法上認められている機関ではなく、一般的には重要な使用人(同法第362条4項3号)であるにとどまります。

2. 執行役員の地位、権限
(1) 執行役員は、一般的には取締役会決議で選任されます(同法第362条4項3号)。
(2) 執行役員は、従来の取締役と部長との中間的地位にあります。執行役員は、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念します。
(3) 執行役員制度の導入には、定款変更や株主総会の決議は必要ではなく、取締役会での決議によるのが一般的です。
(4) 執行役員と会社との関係については、雇用と委任の2つが考えられますが、多くは前者の雇用契約によっています。
(5) 執行役員は、会社法上の機関ではないため、通常、株主代表訴訟の被告とはなりません。
しかし、例外的に、取締役と兼任していたり、事実上の取締役であると認められるような場合には、代表訴訟の被告となることも考えられます。
代表訴訟の事例ではありませんが、裁判所は、取締役の登記をしていない者に対しても、対外的、対内的に会社の重要事項について決定権を有している実質的経営者である「事実上の取締役」であったことを理由として、取締役の責任(改正前商法第266条の3第1項類推適用)を認めています(東京地判平成2年9月3日判時1376号110頁)。
(6) 執行役員は、株主総会に出席して、株主に説明をする義務を負っていません。取締役は、株主総会において、株主から特定の事項(報告事項や決議事項等)について説明を求められたときは、これについて必要な説明をしなければなりませんが(同法第314条)、執行役員は会社の機関ではないため、説明義務は定められていないのです。但し、執行役員が株主総会で説明を行う場合、それは、取締役の補助者として出席し、説明を行っているにすぎません。

3. 執行役員規程
執行役員制度は、会社法上のものではなく、そのため各会社においてその内容、権限、地位等については様々なものがあると考えられます。
 したがって、会社において執行役員制度を導入するに際しては、取締役会において執行役員規程等の規則を制定すべきでしょう。
 その内容としては、以下のようなものが考えられます。
 (1) 執行役員制度導入の趣旨
 (2) 執行役員の意義
 (3) 選任の際の手続き
 (4) 退任
 (5) 職務分掌の定め
 (6) 処遇(給与、時間、任期、就業規則適用の有無、退職金との関係等)
 (7) コンプライアンス(法令順守)の徹底
 執行役員には広い裁量権が与えられ、重要な業務執行を任せることとなりますので、あらかじめきちんとした規程を設けることが必要となるでしょう。

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