御器谷法律事務所
顧客に関する営業秘密につき、「秘密として管理されていない」こと等を理由として、不正競争防止法 2条 1項 4号に定める「営業秘密」に当たらないと判断した事案
東京地方裁判所平成12年12月 7日決定(控訴取下)

《事案の概要》
車両運行管理等を業とする会社()が、競業会社()に対し、競業会社がの元従業員を通じて不正に取得したの営業秘密を使用したことを理由として、不正競争防止法第 2条 1項 4号に基づいて差し止めの請求をした事案。

《争点》
の顧客に関する契約内容一覧表、車両変動状況表、管理車両及び運転者一覧表が、上記条項の定める「営業秘密」に該当するか否か。

《不正競争防止法 2条 1項 4号の構造》
1.窃取、詐欺、脅迫その他の不正の手段により「営業秘密」を取得する行為
  
2. 1.の不正取得行為により取得した「営業秘密」の使用・開示行為
 「営業秘密」(同法 2条 4項)
 (1) 秘密としての管理されていること(秘匿性)
 (2) 有用な情報であること(有用性)
 (3) 公然と知られていないこと(非公知性)

《裁判所の判断》
「秘密として管理されている」ことの要件としては、
@ 当該情報にアクセスしたものに当該情報が営業秘密であることを認識できるようにしていること
A 当該情報にアクセスできる者が限定されていること、が必要である。

本件の場合、紙情報1については、営業担当者に配布され、紙情報2は机の上のファイルに収納されていたのであるから、本件情報へのアクセスが制限されていたと評価するには程遠いというべき。
また、パソコン内の本件情報1についても、アクセスを制限する意味でのパスワードが設定されていたということはできないから、同様にアクセスが制限されていたと評価することはできない。

《結論》
以上より、本件情報は他の社内向け文書と同様の状態で管理されていたものであり、「秘密としての管理」がなく、従って「営業秘密」に該当しない、と判断。
なお、本判決は、非行知性、有用性及び不正競争行為のいずれについてもこれを否定している。

cf.類似判例
a)「営業秘密」性肯定例 東京地判 H11.7.23 東京地判 H12.11.13
b) 否定例 大阪地判 H10.9.10


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