御器谷法律事務所

マンション管理組合
マンションの管理業務を行っていた区分所有法上の「管理者」Aが区分所有者から徴収した管理費等を原資としてA名義で預金した場合における預金債権の帰属者がマンションの「管理組合」であるとされた事例
東京高等裁判所 平成12年12月14日判決 (上告中)

《事案の概要》

X  区分所有者団体(管理組合法人) X' 区分所有者

(委任関係)
A  管理者(A名義銀行預金口座) (質権設定) Y銀行(B債権者)
B  Aの親会社 Y銀行(B債権者)


《争点》
  1. 預金者はA かX か
  2. 預金者がX である場合、Y 銀行のした質権実行(相殺)に民法478条2項が類推適用されるか。質権設定に同法94条2項が類推適用されるか。
《第1審の判断》
  • Aは管理委託契約の事務処理に要する費用の前払いとして管理費等を受け取っていたものであるから、管理費等はA名義の普通預金口座に送金された段階でAに帰属する。
    従って、本件質権設定は有効である。

《第2審(本判決)の判断》
  1. 「管理者」は、マンションの区分所有者によって当然に構成される「区分所有者団体」(一種の組合的結合関係)の行う管理業務の執行者であり、団体を代理する「管理者」の行為の効果は、団体を構成する区分所有者全員に合有的又は総有的に帰属する。
     「管理者」はその執行者としての地位により、「区分所有者」に対し、管理費等の支払いを請求し、これを受領、保管する権限はあるが、管理費等についての債権自体は「区分所有者団体」にあると解される。
     従って、「区分所有者団体」は、(1)自らの出捐によって、(2)自己の預金とする意思で「管理者」を代理人として銀行との間で預金契約をしたものであり預金者はマンションの「区分所有者団体」である。本件では、「区分所有者団体」が法人格を取得し、「管理組合法人」(X)となっているのであるから、預金者は、同法人となる。
     なお、Aは「区分所有者団体」の表示としてAという名義を使用したものというべきである。
  2. 「管理者」Aが区分所有者から徴収した管理費等を原資としてA名義で預金をしていたことをY銀行が知っていた以上、AがBのために、管理者の職務ではあり得ないBのための質権設定を受けるに当たっては、単なる預金の払い戻しの場合とは異なり、より慎重に判断すべき注意義務があったというべきである。
     従って、質権実行についての民法478条の類推適用及び質権設定についての同法94条2項の類推適用はいずれも否定される。

《本判決の特徴》
  • 実質的出捐者を「区分所有者団体」とした点。
  • Aの「管理者」の立場にあったことを重視した点。

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