御器谷法律事務所
不動産競売手続き
不動産競売手続きにおいて建物の競落人が民法 94条 2項、110条の法意により建物所有権を取得しても、敷地の賃借権自体についても上記の法意により保護されるなどの事情のない限りその敷地の賃借権を取得しない。
最高裁判所平成12年12月19日判決

1.事案

 甲は、本件土地を賃借していたが、昭和 51年頃、前妻との間の子である乙の名義で建築確認をし、乙の名義で固定資産税を支払い、課税台帳への登録を承認していた。その後、甲の知らない間に乙名義の所有権保存登記がされ、乙から丙へ売買を原因とする所有権移転登記がされ、丁を根抵当権者とする根抵当権設定契約がされた。
 丙が根抵当権を実行し、平成 6年、Yが本件建物を競落した。
 他方、甲は、平成元年妻である Xに対し、本件土地の借地権を贈与した。
 Xは、本件土地の賃借権に基づき本件土地の所有者の所有権に基づく返還請求権を代位行使して、Yに対し、本件建物収去土地明け渡し等を求めた。

2.判決のポイント

 土地賃借人が、との土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の買受人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も買受人に移転するものと解するのが相当である(最判 40.5.4)。しかしながら、建物について抵当権を設定したものが、その敷地の賃借権を有しない場合には、右抵当権の効力が敷地の賃借権に及ぶと解する理由はなく、右建物の買受人は、民法 94条 2項、110条の法意により建物の所有権を取得するとなるときでも、敷地の賃借権自体についても右の法意により保護されるなどの事情がない限り建物の所有権とともに敷地の賃借権を取得するものではないというべきである。

 これを本件について見ると乙及び丙は本件土地上に賃借権を有するものではなく、本件建物はそのことを前提として競売されたものであることが伺われるのであって、被上告人は丙が本件建物について設定した根抵当権に基づく不動産競売手続において、本件建物の所有権とともに本件土地の賃借権を取得するに由ないものといわなければならない。
 他方、前記事実によれば、甲は右賃借権を上告人に贈与したというのであり、被上告人側において、本件土地の賃借権について民法 94条 2項、110条の法意により保護されるべき事情が存することは伺われない。
 そうであるとすれば、本件土地の賃借権者は上告人であり、本件土地の所有者の所有権に基づく返還請求権を代位行使することにより本件建物を収去して本件土地を明け渡すことを求める上告人の請求は理由がある。

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