御器谷法律事務所

関西医科大学研修医損害賠償請求事件
研修医が労働基準法9条所定の労働者に該当すると初めて司法判断が下された事件
大阪地方裁判所堺支部平成13年 8月29日判決

 「労働者」に該当するか否かの判断に当たっては、(イ)仕事の依頼、業務従事への指示等に関する諾否の自由の有無、(ロ)業務遂行上の指揮監督の有無、(ハ)場所的・時間的拘束性の有無、(ニ)労務提供の代替性の有無、(ホ)業務用器具の負担関係、(へ)報酬が労働自体の対償的性格を有するか否か、(ト)専属性の程度一他の業務への従事が制度上若しくは事実上制約されているか、(チ)報酬につき給与所得として源泉徴収を行っているか等を総合的に考慮して判断されるべきである。
 前記認定によれば、○○ら研修医は、本来的には、臨床研修において、医学的知識と技術、医師のあるべき姿勢、態度等を学ぶことを目的としており、その意味においては、いかに研鑽を深めるか等につき、自らの自発性に委ねられるところがあることは否定できないところであるが、被告病院において、○○は、指導医が診察する際に、その診察を補助するとともに、指導医からの指示に基づいて検査の予約等をしており、指導医と研修医との間に業務遂行上の指揮監督関係が認められること、平日(月曜日から金曜日)午前 7時30分から午後 7時までの研修時間中においては、研修医に指導医からの指示に対する諾否の自由が事実上与えられていなかったこと、月曜日から金曜日は午前 7時30分までに被告病院に赴き、入院患者の採血を開始し、午後7時ころに入院患者への点滴が終了するまでは被告病院におり、土曜日及び日曜日についても、午前 7時30分までには被告病院に赴き、入院患者の採血や点滴をしており、場所的・時間的拘束性が認められること、業務用器具についてはいずれの作業も被告病院の器具を用いること、被告は研修医に対して 6万円及び当直手当相当額の金員を支給していること、被告病院における研修内容及び拘束時間に照らせば、○○ら研修医は、事実上、他の業務への従事が制約されていること、○○が被告から支給を受けた金員は、給与所得として源泉徴収がなされていることが認められ、これらの事情を総合して検討すれば、○○ら研修医は、研修目的からくる自発的な発意の許容される部分を有し、その意味において特殊な地位を有することは否定できないが、全体としてみた場合、他人の指揮命令下に医療に関する各種業務に従事しているということができるので、○○は労働基準法 9条にいう「労働者」に該当すると認められる。


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