御器谷法律事務所

医師の患者の家族への末期がんの告知義務
平成14年9月24日 最高裁判所判決

 患者の診察をしたA医師は、前記のとおり、一応は患者の家族との接触を図るため、患者に対し、入院を一度勧め、家族を同伴しての来診を一度勧め、あるいはカルテに患者の家族に対する説明が必要である旨を記載したものの、カルテにおける患者の家族関係の記載を確認することや診察時に定期的に持参される保険証の内容を本件病院の受付担当者に確認させることなどによって判明する患者の家族に容易に連絡を取ることができたにもかかわらず、その旨の措置を講ずることなどもせず、また、本件病院の他の医師らは、A医師の残したカルテの記載にもかかわらず、患者の家族等に対する告知の適否を検討するために患者の家族らに連絡を取るなどして接触しようとはしなかったものである。このようにして、本件病院の医師らは、患者の家族等と連絡を取らず、患者の家族等への告知の適否を検討しなかったものであるところ、被上告人甲及び乙については告知を受けることにつき格別障害となるべき事情はなかったものであるから、本件病院の医師らは、連絡の容易な家族として、又は連絡の容易な家族を介して、少なくとも同被上告人らと接触し、同被上告人らに対する告知の適否を検討すれば、同被上告人らが告知に適する者であることが判断でき、同被上告人らに対して患者の病状等について告知することができたものということができる。そうすると、本件病院の医師らの上記のような対応は、余命が限られていると診断された末期がんにり患している患者に対するものとして不十分なものであり、同医師らには、患者の家族等と連絡を取るなどして接触を図り、告知するに適した家族等に対して患者の病状等を告知すべき義務の違反があったといわざるを得ない。
(慰謝料として120万円の支払義務を認めた)

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