御器谷法律事務所

共同抵当の目的となった数個の不動産の代価を同時配当する場合に、一個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と同順位の他の抵当権が存する場合の計算方法につき判断した事案
平成14年10月22日最高裁小法廷 判決(破棄自判))

《事案の概要》
上告人と被上告人の抵当権設定状況は次のとおり
(被担保債権額・不動産の価額は概数、単位は万円)。
上告人は、競売手続を申し立て、甲・乙・丙の各不動産が売却された。

被担保債権額・不動産の価額 甲(500) 乙(800) 丙(1400)
上告人 (8000) 第 1順位 第 1順位 第 1順位 .
被上告人 (2000) . 第 1順位 . 第 1順位

《執行裁判所の判断》
1) 上告人の債権額を、甲・乙・丙の各不動産の代価の割合で割り付ける。
上告人及び被上告人が第1順位である乙についての負担額は次のとおり。
8000×800/(500+800+1400)≒2370
 さらに、上告人及び被上告人が第 1順位であるため、乙の代価を、乙の負担額と被上告人の債権額とで案分する。
2370 / 2370 + 2000 x 800 433
(上告人が配当を受けた額)
上告人の乙負担額 / 上告人の乙負担額 + 被上告人の債権額 x 乙の代価

2) 上告人がなした、競売申立書の記載(確定損害金の誤記)を増額訂正することはできない。

《本判決の判断》
1) 共同抵当の目的となった数個の不動産の代価を同時に配当すべき場合に、一個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と同順位の他の抵当権が存するときは、まず、当該一個の不動産の不動産価額を同順位の各抵当権の被担保債権の割合に従って案分し、各抵当権により優先弁済請求権を主張することのできる不動産の価額(各抵当権者が把握した担保価値)を算定し、次に民法392条1項に従い、共同抵当権者への案分額及びその余の不動産の価額に準じて共同抵当の被担保債権の負担を分けるべきものである。
8000 / 8000 + 2000 × 800 640
(上告人が配当額)
上告人の債権額 / 上告人の債権額 + 被上告人の債権額 × 乙の代価
これと異なる原審の計算方法は、共同抵当の目的となる不動産の同順位者に対して、共同抵当に係る被担保債権全額を主張することを認めず、共同抵当に係る数個の不動産の代価の同時配当における負担割合の基礎となる不動産の価額中に同順位が優先弁済請求権を主張することができる金額(同順位者が把握した担保価値)を含ませる結果となるものであって採用することができない。

2) 競売申立書に明白な誤記、計算違いがある場合には、その後の手続においてこれを是正することが許されるものと解すべきである。本件では、債権計算書においてその是正がなされている。


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