御器谷法律事務所
出版・販売の差止請求
出版業者及び執筆者に対して、その出版物の中に名誉を毀損する部分があるとして、右記事部分の出版・販売等の禁止請求および慰謝料請求が認容された事例
大阪地方裁判所 平成15年5月19日判決

 本件は、Xが、Y会社の発行した書籍のうち、Yが執筆した部分にXの人格を疑わせる記述があり、Xの社会的地位を低下させるとして、Y会社に対して右書籍の記述部分の出版、販売及び頒布の差止を求めるとともに、Y会社及びYに対して謝罪広告の掲載及び慰謝料として金1,000万円の損害賠償を求めたものである。

(ア) 人格的価値は極めて重要な保護法益であり、物権と同様の排他性を有する権利ということができる。したがって、人格権侵害が認められる場合には、加害者に対し、人格権の排他性に基づいて、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872頁参照)。
(イ) そして、前記一において検討したとおり、本件記述は原告の名誉を毀損する事実を摘示するものであるから、これを含む本件書籍の出版、販売又は頒布が継続されれば、原告の名誉は今後も毀損され続けることになるので、これを差し止める必要は強い。これに対し、本件記述は、被告谷澤の広辞苑が乙山氏を人名項目に揚げることへの批判を補強する意味を持つに過ぎず、本件記述がなくても、被告谷澤の目的は十分に達成することができるものである。
 さらに、前提となる事実記載のとおり、本件書籍は、出版から一年半が経過しており、すでに相当部分が販売されていること、初版が5万部印刷されたものの、2万部強が不良処理されるなどしており、実売数を差し引くと、在庫及び市場に流通している部数は、数千部単位であって、その販売等を差し止めたとしても、被告らの被る財産的影響はさほど大きくはないことが推認される。
(ウ) したがって、原告の被告光文社に対する本件記述の差止請求は、これを認めるのが相当である。


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