御器谷法律事務所

最高裁判所平成15年6月13日判決
不実登記と善意無過失の第三者−民法§94・(2)、§110の類推適用ない場合

 上告人は、地目変更などのために利用するにすぎないものと信じ、Aに白紙委任状、本件土地建物の登記済証、印鑑登録証明書等を交付したものであって、もとより本件第一登記がされることを承諾していなかった。
 接着した時期に本件第一ないし第三登記がされている。
 上告人は、工業高校を卒業し、技術職として会社に勤務しており、これまで不動産取引の経験のない者であり、不動産売買等を業とするBの代表者であるAからの言葉巧みな申入れを信じて、同人に上記(1)の趣旨で白紙委任状、本件土地建物の登記済証、印鑑登録証明書等を交付したものであって、上告人には、本件土地建物につき虚偽の権利の帰属を示すような外観を作出する意図は全くなかった。
 上告人が本件第一登記を承認していたものでないことはもちろん、同登記の存在を知りながらこれを放置していたものでもない。
 上告人がBに対して本件土地建物の所有権移転登記がされる危険性についてAに対して問いただし、そのような登記がされることを防止するのは困難な状況であった。
 上告人は、本件土地建物の虚偽の権利の帰属を示す外観の作出につき何ら積極的な関与をしておらず、本件第一登記を放置していたとみることもできないのであって、民法94条2項、110条の法意に照らしても、Bに本件土地建物の所有権が移転していないことを被上告人らに対抗し得ないとする事情はないというべきである。


執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ