御器谷法律事務所

東京地方裁判所 平成16年4月23日判決 (一部認容・控訴)
火災による焼損が隠れた瑕疵に当たるとして、売主と仲介業者の責任を認めた事案

《事案の概要》
 Xは、平成13年、Y1から土地建物を代金2980万円(Y2の仲介手数料100万円余)で買い受け、引渡しを受けたが、その際、Xは、本件建物が平成4年に一部焼損した事実を知らされなかった。
 そこで、Xは、建物に売買当時説明を受けなかった火災による焼損、冠水があるとして、Y1に対して、瑕疵担保ないし不法行為を原因として、これらによる市場価格の減価分等の損害賠償(400万円余)を、Y2に対しては、仲介契約上の債務不履行を原因として、仲介手数料相当額(100万円余)の損害賠償を請求した。

《争点》
本件火災による焼損は隠れた瑕疵に当たるか。
 
《本判決の判断》
□ Y1の責任
 売買の目的建物が、火災に遭ったことがあり、これにより焼損を受けているということは、通常の経年変化ではなく、その程度が無視し得ないものである場合には、通常の経年変化を超える特別の損傷等があるものとして、建物の瑕疵に当たるということができる。そして、この火災や焼損の事実を買主が知らされていなかった場合には、隠れた瑕疵に当たることになる。(中略)
 以上によれば、本件焼損が直接的に本件売買契約における本件建物の物理的な価値に影響を及ぼしたとは認められない。(中略)
 しかし、建物の客観的交換価値は、物理的な価値のみによって構成されるものではなく、買い手の側の購買意欲を増進し又は減退させる物理的価値以外の建物に係る事情によっても左右されるというのが相当である。(中略)
 以上によれば、本件焼損等は、通常の経年変化を超える無視し得ない特別の損傷等であって、本件建物の瑕疵に当たるということができる。(中略)
 本件売買契約の代金が本件土地と本件建物の合計額で決められていたところ、本件建物は築後約27年のものであったこと、本件土地に近接する標準値の平成13年の地価公示価格が1平方メートル当たり37万1000円ないし37万2000円であったこと、その他諸般の事情にかんがみれば、60万円と認めるのが相当である。
□ Y2の責任−債務不履行の成否
 売主と買主の双方から仲介を依頼された仲介業者は、売主の提供する情報のみに頼ることなく、自ら通常の注意を尽くせば仲介物件の外観(建物内部を含む。)から認識することができる範囲で、物件の瑕疵の有無を調査して、その情報を買主に提供すべき契約上の義務を負うと解すべきである。
 本件焼損等は、Y2がこれを認識している場合には、信義則上買主に告知すべき事項であるところ、Y2は、本件焼損等をY1から知らされていなかったが、注意して見分すれば本件建物の外観から本件焼損の存在を認識することができたということができ、その上でY1に問いただせば、本件火災や消防車出動の事実も知り得たと認められる。したがって、被告会社は、本件焼損等を確認した上で、原告らに情報提供すべきであったのに、これを怠ったというのが相当である。

《結論》
 XらからYらに対して、60万円の支払(不真正連帯債務)を認めた。
 (X1:40万円 X2:20万円 →両者の共有持分に応じて按分比例)


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