御器谷法律事務所

労働組合の組合員に労働委員会に対する救済申立ての申立適格が肯定された事例

最高裁判所 平成16年 7月12日判決

 原審は,労働組合法7条3号の不当労働行為に係る救済申立ては,労働組合がするのが原則であり,労働組合自体が御用組合化していて組合員個人の救済申立てにより労働組合の自主性や組織力が回復,維持されるような特段の事情がある場合を除き,組合員である労働者個人は救済申立て適格を有しないとした上,本件には上記の特段の事情はなく,本件却下部分は適法であるとして,その取消請求を棄却すべきものとした第1審判決を是認し,同請求に係る上告人の控訴を棄却した。
 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 労働委員会による不当労働行為救済制度は,労働者の団結権及び団体行動権の保護を目的とし,これらの権利を侵害する使用者の一定の行為を不当労働行為として禁止した労働組合法7条の規定の実効性を担保するために設けられたものである。この趣旨に照らせば,使用者が同条3号の不当労働行為を行ったことを理由として救済申立てをするについては,当該労働組合のほか,その組合員も申立て適格を有すると解するのが相当である。
 前記事実関係によれば,上告人は,本件異動が同条3号の不当労働行為に当たることを理由として救済申立てをする適格を有するものというべきである。これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,原判決のうち本件却下部分に係る部分は破棄を免れない。そして,以上によれば,第1審判決のうち同部分を取り消し,本件命令のうち本件却下部分を取り消すべきである。
 なお,その余の本訴請求に関する上告については,上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので,棄却することとする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。


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