御器谷法律事務所
最高裁判所 平成17年1月25日判決
ストックオプションにつき給与所得と認定

 本件ストックオプション制度に基づき付与されたストックオプションについては、被付与者の生存中は、その者のみがこれを行使することができ、その権利を譲渡し、又は移転することはできないものとされているというのであり、被付与者は、これを行使することによって、初めて経済的な利益を受けることができるものとされているということができる。そうであるとすれば、米国アプライド社は、上告人に対し、本件付与契約により本件ストックオプションを付与し、その約定に従って所定の権利行使価格で株式を取得させたことによって、本件権利行使益を得させたものであるということができるから、本件権利行使益は、米国アプライド社から上告人に与えられた給付に当たるものというべきである。本件権利行使益の発生及びその金額が米国アプライド社の株価の動向と権利行使時期に関する上告人の判断に左右されたものであるとしても、そのことを理由として、本件権利行使益が米国アプライド社から上告人に与えられた給付に当たることを否定することはできない。
 ところで、本件権利行使益は、上告人が代表取締役であった日本アプライド社からではなく、米国アプライド社から与えられたものである。しかしながら、前記事実関係によれば、米国アプライド社は、日本アプライド社の発行済み株式の100%を有している親会社であるというのであるから、米国アプライド社は、日本アプライド社の役員の人事権等の実権を握ってこれを支配しているものとみることができるのであって、上告人は、米国アプライド社の統括の下に日本アプライド社の代表取締役としての職務を遂行していたものということができる。そして、前記事実関係によれば、本件ストックオプション制度は、アプライドグループの一定の執行役員及び主要な従業員に対する精勤の動機付けとすることなどを企図して設けられているものであり、米国アプライド社は、上告人が上記のとおり職務を遂行しているからこそ、本件ストックオプション制度に基づき上告人との間で本件付与契約を締結して上告人に対して本件ストックオプションを付与したものであって、本件権利行使益が上告人が上記のとおり職務を遂行したことに対する対価としての性質を有する経済的利益であることは明らかというべきものである。そうであるとすれば、本件権利行使益は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたものとして、所得税法28条1項所定の給与所得に当たるというべきである。


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