御器谷法律事務所
最高裁判所(第三小法廷) 平成17年7月19日判決(破棄差戻し)
貸金業者は、債務者に対し、貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、取引履歴を開示すべき義務を負うと判示した事案

《関連条文》
貸金業法19条、17条1項、18条1項、43条1項
貸金業の規則等に関する法律施行規則16条
金融庁事務ガイドライン3-2-3(現在は3-2-7)

《最高裁の判断》
「以上のような貸金業法の趣旨に加えて、一般に、債務者は、債務内容を正確に把握できない場合には、弁済計画を立てることが困難となったり、過払金があるのにその返還を請求できないばかりか、更に弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど、大きな不利益を被る可能性があるのに対して、貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易であり、貸金業者に特段の負担は生じないことにかんがみると、貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うものと解すべきである。そして、貸金業者がこの義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは、その行為は、違法性を有し、不法行為を構成するものというべきである。」

「前記事実関係によれば、上告人の取引履歴の開示要求に上記特段の事情があったことはうかがわれない。そして、上告人は、債務整理を弁護士に依頼し、被上告人に対し、弁護士を通じて、半年近く、繰り返し取引履歴の開示を求めたが、被上告人がこれを拒絶し続けたので、上告人は、その間債務整理ができず、結局、本件訴訟を提起するに至ったというのであるから、被上告人の上記開示拒絶行為は、違法性を有し、これによって上告人が被った精神的損害については、過払金返還請求が認められることにより損害がてん補される関係には立たず、不法行為による損害賠償請求が認められなければならない。」

《結論》
慰謝料の額について更に審理を尽くさせるため、破棄差戻し


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