御器谷法律事務所
最高裁判所第2小法廷 平成18年10月20日判決
不動産譲渡担保につき、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと判断した事案

《事案の概要》
H12.9 A →X 400万円貸し渡し
X 自己所有不動産を譲渡担保としてAに提供
(譲渡担保を原因とする所有権移転登記済)
H14.6
(譲渡担保権者Aの債権者)の申立により競売開始決定、差押登記
  
H14.7 X→A 元本400万円を返済、解除を原因とする所有権移転登記経由
X→Y 所有権を受け戻したとして第三者異議を申立

《結論》
 X(借主、譲渡担保権設定者)の上告棄却

《理由》
「 不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。
 なぜなら、設定者が債務の履行を遅延したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第2小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。
 上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する機能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」


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