御器谷法律事務所
最高裁判所第2小法廷 平成19年2月15日判決
国税の法定納期限等以前に将来債権を目的する譲渡担保契約が締結され、対抗要件が具備されていた場合に、当該債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても、当該債権は「国税の法的納期限等以前に譲渡担保財産となっている」(国税徴収法24条6項)と判断した事案

《事案の概要》

《原審》
 滞納国税の法定納期限等が到来した後に発生した債権につき、被上告人がなした差押えに違法はないと判断。

《主文》
原判決を破棄する。

《理由》
  • 国税徴収法24条6項は、「譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担 保財産となっている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合」等には、譲渡担保権者の物的納税責任について定めた同条1項の規定は適用しない旨規定している。
     本件は、上告人が、本件債権は本件国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっていたものであり、上告人は同条6項所定の証明をしたから、本件につき同条1項の規定を適用することはできず、本件差押えは違法であるとして、その取消しを求めている事案である。

  • 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は、譲渡の目的とされる債権が特定されている限り、原則として有効なものである(最高裁平成9年(オ)第219号同11年1月29日第三小法廷判決・民集53巻1号151頁参照)。また、将来発生すべき債権を目的とする譲渡担保契約が締結された場合には、債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない限り、譲渡担保の目的とされた債権は譲渡担保契約によって譲渡担保設定者から譲渡担保権者に確定的に譲渡されているのであり、この場合において、譲渡担保の目的とされた債権が将来発生したときには、譲渡担保権者は、譲渡担保設定者の特段の行為を要することなく当然に、当該債権を担保の目的で取得することができるものである。そして、前記の場合において、譲渡担保契約に係る債権の譲渡については、指名債権譲渡の対抗要件(民法467条2項)の方法により第三者に対する対抗要件を具備することができるのである(最高裁平成12年(受)第194号同13年11月22日第一小法廷判決・民集55巻6号1056頁参照)。
     以上のような将来発生すべき債権に係る譲渡担保権者の法的地位にかんがみれば、国税徴収法24条6項の解釈においては、国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として、債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され、その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には、譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても、当該債権は「国税の法的納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当すると解するのが相当である。

  • 前記事実関係によれば、上告人は、前記****のとおり、本件差押えに先立ち、本件債権が本件国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている事実を内容証明郵便によって証明したものということができるから、本件について国税徴収法24条1項の規定を適用することはできないというべきである。
     そうすると、被上告人が同条3項の規定に基づき上告人を第二次納税義務者とみなして行った本件差押えは違法というべきである。

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