御器谷法律事務所

パチンコ業者らが風営法上の風俗営業の許可に関する規制を利用し、競業者が出店を予定して購入した土地での営業許可を受けられないようにする意図のもと、近接する土地等を児童遊園として社会福祉法人に寄付した行為は不法行為にあたるとした事例
最高裁判所 平成19年3月20日判決(破棄差戻)

《事案の概要》
H11.4.1 パチンコ業者甲(上告人)、出店予定地(「本件土地」)を2億7000万円で購入
4.6 パチンコ業者ら乙(被上告人)、本件土地から100m以内にある共有地(「本件事業者土地」)を社会福祉法人丙(被上告人)に寄付する意向を打診
*共有地は、H10に甲がいったん出店計画を進めていた際、乙らが購入
5.5 乙→丙、児童遊園として整備した上、上記を申し入れ
5.6 甲→設計管理事務所、出店予定店舗につき設計・工事監理業務委託契約
5.14 乙→丙に寄付実行、登記名義移転
6.7 丙→知事、児童遊園設置認可申請
6.16 甲、新規店舗につき風営法の許可申請
7.14 知事→丙、児童遊園設置を認可
8.6 児童遊園が付近に存在することを理由に、新規店舗につき不許可処分

《争点》
 甲が、競業者が出店を予定して購入した土地での営業許可を受けられないようにする意図のもと、近接する土地等を児童遊園として社会福祉法人に寄付した行為が不法行為にあたるか
 
《裁判所の判断》
[第一審]
 乙・丙の共同不法行為→甲の請求全部認容(合計10億円余り)
[控訴審]
 乙が寄付を申し入れた時点では、甲の新規店舗の事業計画はいまだ確定されていなかったとして、本件寄付に違法性を認めず、請求を全部棄却

[最高裁]
「前記事実関係によれば、上告人甲が本件売買契約を締結した後、それを知った被上告人乙等は、法四条二項二号による規制を利用して、上告人甲が本件土地上でのパチンコ店の営業について法三条一項の許可を受けることができないようにする意図の下に、本件寄附を申し入れ、被上告人丙の承諾を得て、これを実行し、被上告人丙が本件児童遊園の設置許可を受けた結果、上告人甲は、本件パチンコ店の営業について法三条一項の許可を受けることができなかったというのである。
 そうすると、本件寄附は、上告人甲の事業計画が、本件売買契約の締結により実行段階に入った時点で行われたものというべきであり、しかも、法四条二項二号の規制は、都道府県の条例で定める地域内において良好な風俗環境を保全しようとする趣旨で設けられたものであるところ、被上告人乙等は、その趣旨とは関係のない自らの営業利益の確保のために、上記規制を利用し、競業者である上告人甲が本件パチンコ店を開業することを妨害したものというべきであるから、本件寄附は、許される自由競争の範囲を逸脱し、上告人甲の営業の自由を侵害するものとして、違法性を有し、不法行為を構成するものと解すべきである。」
 そのうえで、乙との関係では損害論、丙との関係では不法行為の成否等につき審理を尽くさせるため、原審に差し戻す。
 

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