御器谷法律事務所
最高裁判所第三小法廷 平成19年4月3日判決
外国語会話教室における受講契約を解除した場合の受講料の清算規定が特定商取引法49条2項1号に照らして無効と判断された事案

《事案の概要》
「本件は、上告人の経営する外国語会話教室に通っていた被上告人が、受講契約を解除したことに伴い、上告人に対し、同契約の締結時にあらかじめ支払った受講料の精算を求める事案である。」

《判旨》
特定商取引法49条1項
特定継続的役務提供契約が締結された場合、役務受領者は、同項所定の期間を経過した後においては、将来に向かって当該契約の解除をすることができる
 
特定商取引法49条2項1号
特定継続的役務提供契約が役務の提供開始後に解除されたときは、役務提供事業者は、役務受領者に対し、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、提供済役務対価相当額と解除によって通常生ずる損害の額として政令で定める額*を合算した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を請求することができない 
 * 外国語会話教室に係る特定継続的役務
5万円又は解除された契約に係る役務の対価の総額から提供済役務対価相当額を控除した額の100分の20に相当する額のいずれか低い額

「上記各規定の趣旨は、特定継続的役務提供契約は、契約期間が長期にわたることが少なくない上、契約に基づいて提供される役務の内容が客観的明確性を有するものではなく、役務の受領による効果も確実とはいえないことなどにかんがみ、役務受領者が不測の不利益を被ることがないように、役務受領者は、自由に契約を将来に向かって解除することができることとし、この自由な解除権の行使を保障するために、契約が解除された場合、役務提供事業者は役務受領者に対して法定限度額しか請求できないことにしたものと解される。」

「本件料金規定においては、登録ポイント数に応じて、一つのポイント単価が定められており、受講者が提供を受ける各個別役務の対価額は、その受講者が契約締結の際に登録した登録ポイント数に応じたポイント単価、すなわち、契約時単価をもって一律に定められている。本件契約においても、受講料は、本件料金規定に従い、契約時単価は一律に1200円と定められており、被上告人が各ポイントを使用することにより提供を受ける各個別役務について、異なった対価額が定められているわけではない。そうすると、本件使用済ポイントの対価額も、契約時単価によって算定されると解するのが自然というべきである。」

「本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、上記各規定の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない。
 そうすると、本件清算規定は、役務提供事業者が役務受領者に対して法49条2項1号に定める法定限度額を超える額の金銭の支払を求めるものとして無効というべきであり、本件解除の際の提供済役務対価相当額は、契約時単価によって算定された本件使用済ポイントの対価額と認めるのが相当である。」


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