御器谷法律事務所
札幌高等裁判所 平成19年4月26日判決(確定)
利息制限法所定の適用により元本が完済した後も消費者金融業者が請求を続けたこと架空請求として不法行為を構成すると解すると判断し、慰謝料及び弁護士費用の支払いを命じた事案

《事案の概要》
貸金業者(一審被告)に対して一審原告が支払った利息制限法を超過する利率による利息を借入元本に充当計算をすると過払金が発生するとして、一審原告が一審被告に対して不当利得に基づいてその過払金304万余及び年6%の利息の支払いを求めて提訴した事案
 一審原告は高裁においてさらに次のとおり請求を拡張した
(1) 民法704条後段に基づく損害として訴訟に係る弁護士費用30万円
(2) (主位的請求) 不法行為に基づく損害賠償として慰謝料15万円及び弁護士費用5万円(並びにこれらに対する年5%の遅延損害金)
(予備的請求) 省略

《判旨》
民法704条後段所定の損害として訴訟に係る弁護士費用30万円を認容した上、さらに、次のとおり、請求拡張部分(主位的請求部分)につき損害賠償請求(慰謝料及び弁護士費用)を認容した。

「一審被告は、一審原告から受領する利息制限法所定の制限を超える利率による利息は不当利得を構成するものであることを知っていたというべきであるところ、弁論の全趣旨によれば、一審被告は、充当計算をせずに一審原告に対して利息及び元本の支払請求をし、一審原告はその請求が正しいものとして、これに応じて一審被告に返済を続けてきたことが認められる。一審被告の上記のような請求は、充当計算の結果元本がなくなるまでは、その一部は存在しない債務に係るものであり、元本がなくなった後は、その全部が存在しない債務に係るものであるから、架空請求として不法行為を構成すると解するのが相当である(一審被告が主張するように、貸金業者がグレーゾーン金利で営業することを監督官庁が容認しているとしても、私法上の違法性を阻却するものではない。)。なお、上記のような一審被告の請求は、一審被告が充当計算をしていなかったとしても、少なくとも債務の一部はないことを、そして場合によっては元本がなくなっていることを知りつつなされたものであるから、一審被告は架空請求になることを知っていたものというべきである。
 一審原告が一審被告による上記請求を受け、請求額全額を支払わなければならないと誤信し、そのために苦しい生活を強いられたことは容易に想像され、そのために精神的苦痛を被ったと認められる。そして、一審原告が昭和62年7月から平成17年9月まで弁済を強いられ、しかも、充当計算の結果、原判決別紙裁判所計算表のとおり平成3年5月以降は元本がなかったことなどを考慮すると、一審原告の精神的苦痛に対する慰謝料は15万円を下ることはないものと認められる。
  また、一審原告が上記慰謝料請求のために弁護士に委任し、訴えを提起したことは当裁判所に顕著であるところ、本件事案に鑑みると、一審被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は5万円を下ることはないものと認められる。」


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