御器谷法律事務所
東京地方裁判所 平成20年7月31日判決
放送局が取材のためチャーターしたヘリコプターが電力会社の設置する送電線に接触し、墜落した事故について、電力会社の土地工作物責任が認められた事例

 本件は、放送局が取材のためチャーターしたヘリコプターが電力会社の設置した送電線に接触して墜落し、搭乗した同放送局の記者らが死亡した事故において、電力会社の土地工作物責任の成否が問題となった。

・工作物責任の有無
まず、本件送電線は、民法717条にいう「土地の工作物」に該当し得るものであるところ(最高裁第1小法廷昭和37年11月8日判決、民集16巻11号2216頁参照)、同法にいう「工作物の設置又は保存の瑕疵」とは、土地の工作物が通常有する安全性を欠いていることをいい、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があったと認められるかどうかは、当該工作物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的、個別的に判断すべきである。これを本件についてみると、本件送電線のように、高さ60mを超える送電線は、低空飛行をしてきた飛行機やヘリコプター等と接触する危険性があることは否定でいないのであるから、そのような危険を防止するためには、飛行機やヘリコプターから送電線の存在が認識しやすくなるような設備をしておく必要があるものと考えられる。航空法等の規定が、高さ60m以上の送電線(架空線)に昼間障害標識を設置する義務を課したのも、まさにそのような配慮に基づくものなのである。そうすると、このような航空法上の設置義務に違反して昼間障害標識を設置しなかったことは、本件送電線が通常有すべき安全性を備えるための措置を欠いたものであって、本件送電線の設置・保存に瑕疵があったと認めるのが相当である。


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